新NISA時代の投資戦略として、市場からの評価が見直されつつある「PBR1倍割れ」かつ、財務の健全性を証明する「連続増配」銘柄に注目が集まっています。
今回は割安な株価水準に甘んじず、株主還元を通じて企業価値向上を目指す実力派の7銘柄を厳選してご紹介します。
この記事でわかること
-
PBR1倍割れの割安水準にある「お宝候補」の高配当株
-
財務健全で配当を減らさない「連続増配・非減配」の実績
-
各企業の最新の「株主還元方針」と具体的な数値目標
-
投資前に知っておくべき「懸念点・リスク」
本記事で紹介する銘柄一覧
| コード | 銘柄名 | 利回り | PER | PBR | 連続増配 | 連続非減配 |
| 2153 | E・J HD | 4.06% | 8.8倍 | 0.86倍 | 9年 | 10年以上 |
| 3176 | 三洋貿易 | 3.95% | 10.3倍 | 0.83倍 | 10年 | 16年以上 |
| 7990 | グローブライド | 4.27% | 11.3倍 | 0.78倍 | 15年 | 14年 |
| 8425 | みずほリース | 3.58% | 8.7倍 | 0.98倍 | 21年 | 21年 |
| 9368 | キムラユニティー | 3.94% | 9.9倍 | 0.88倍 | 8年 | 16年以上 |
| 2733 | あらた | 3.63% | 9.7倍 | 0.86倍 | 11年 | 16年以上 |
| 7208 | カネミツ | 3.65% | 7.6倍 | 0.44倍 | 14年 | 16年以上 |
※各数値データは2025年12月19日終値ベースのものです。
▶おすすめ記事
ピックアップ銘柄紹介
2153 E・Jホールディングス
国内トップクラスの総合建設コンサルタントとして、官公庁向けの社会インフラ整備や防災・保全事業に強みを持ちます。廃棄物処理や環境分野でも高い実績を誇り、災害大国日本において底堅い需要を取り込む安定企業です。
【株価指標】 PER 8.8倍/ PBR 0.86倍
【財務指標】 自己資本比率 65.5%/ROE 9.61%
【配当情報】 利回り 4.06%/配当性向 32.8%
【増配実績】 過去10年間の増配回数 9回
【連続増配】 9年(予想達成時)
【連続非減配】 10年以上
【株主還元方針】 長期安定的な利益還元を基本とし、DOE(株主資本配当率)3.0%以上を目安に「累進配当」を継続する方針を明記しています。
【株主優待】 なし(2024年に廃止)
【懸念点・リスク】 官公庁の公共事業への依存度が高いため、国の予算削減や公共投資抑制の影響を直接受けやすい点がリスクです。
建設コンサルは地味に見える。でも防災需要はなくならないから業績が読みやすいのが魅力だね。DOE採用で、利益が一時的に落ち込んでも配当が減りにくい仕組み。長期保有にはかなり安心材料だよ。
3176 三洋貿易
ゴム、化学品、自動車部品などを扱う独立系の専門商社で、ニッチな市場でトップシェアを誇る「ニッチトップ」商品を多数保有しています。高付加価値な商材に特化することで高い収益性を維持する堅実経営が特徴です。
【株価指標】 PER 10.3倍/ PBR 0.83倍
【財務指標】 自己資本比率 62.9%/ROE 9.33%
【配当情報】 利回り 3.95%/配当性向 35.6%
【増配実績】 過去10年間の増配回数 10回
【連続増配】 10年(予想達成時)
【連続非減配】 16年以上
【株主還元方針】 長期経営計画「SANYO VISION 2028」において、配当性向30%以上を目処とし、減配を行わない「累進配当」を継続する方針を掲げています。
【株主優待】 なし
【懸念点・リスク】 海外売上比率が高まっているため、為替変動や米中貿易摩擦などの地政学リスクの影響を受ける可能性があります。
「ニッチトップ」って言葉は投資家にはたまらない響きだよね。派手さはないけど他社が入り込めない市場でしっかり稼ぐ。それをきちんと配当に回す「累進配当」宣言は株主への誠実さを感じるなぁ。
7990 グローブライド
「DAIWA」ブランドで知られる世界最大手の釣り具メーカーです。フィッシング事業だけでなく、ゴルフやラケットスポーツ、サイクルスポーツ用品も展開し、グローバル市場で強力なブランド力を築いています。
【株価指標】 PER 11.3倍/ PBR 0.78倍
【財務指標】 自己資本比率 53.5%/ROE 8.30%
【配当情報】 利回り 4.27%/配当性向 38.4%
【増配実績】 過去10年間の増配回数 10回
【連続増配】 15年(予想達成時)
【連続非減配】 14年
【株主還元方針】 安定的かつ継続的な増配を基本とし、連結配当性向30%以上を維持することを目標としています。業績に応じた利益還元を行う方針です。
【株主優待】 オリジナルQUOカード(100株以上で1,000円分~)
【懸念点・リスク】 アウトドアブームの沈静化による需要減退や、海外販売比率が高いため円高進行時の収益悪化リスクがあります。
世界No.1のブランド力がありながらPBR1倍割れはお買い得感があるね。釣りブームが一巡しても海外売上がしっかり支えているのが強み。優待のQUOカードも長期保有で額面アップするから、じっくり持つにはもってこいだね。
▶おすすめ記事
8425 みずほリース
みずほフィナンシャルグループ系の大手総合リース会社です。銀行系ならではの顧客基盤と資金調達力を活かし、M&Aや不動産、航空機リースなど事業領域を拡大中。資本提携戦略にも積極的です。
【株価指標】 PER 8.7倍/ PBR 0.98倍
【財務指標】 自己資本比率 9.8%(金融業のため低め)/ROE 12.15%
【配当情報】 利回り 3.58%/配当性向 30.4%
【増配実績】 過去10年間の増配回数 10回
【連続増配】 21年(予想達成時)
【連続非減配】 21年
【株主還元方針】 業績に応じた配当を基本とし、配当性向30%水準への引き上げを掲げています。公式にも「累進的な配当」の継続を基本方針としています。
【株主優待】 なし(2023年に廃止)
【懸念点・リスク】 金利上昇局面では資金調達コストが増加し、利ざやが縮小する可能性があります。金融業特有の自己資本比率の低さも留意点です。
20年以上も毎年配当を増やし続けている実績はまさに「ミスター安定感」。リース業はPBRが低くなりがちだけど、1倍回復に向けて株主還元をさらに強化してくる期待感があるね。新NISAの守りの要にしたい銘柄だよ。
9368 キムラユニティー
トヨタグループ向けの物流サービスを主力とし、部品包装や輸送管理を一手に引き受ける企業です。また、車両リースやメンテナンスを行うカーマネジメント事業も展開し、安定した収益基盤を持っています。
【株価指標】 PER 9.9倍/ PBR 0.88倍
【財務指標】 自己資本比率 60.7%/ROE 8.47%
【配当情報】 利回り 3.94%/配当性向 40.7%
【増配実績】 過去10年間の増配回数 10回
【連続増配】 8年(予想達成時)
【連続非減配】 16年以上
【株主還元方針】 継続的な安定配当に加え、還元の向上を目指して連結配当性向40%を目標としています。中間・期末の年2回配当を基本方針としています。
【株主優待】 お米券(200株以上で2kg分~)
【懸念点・リスク】 主要顧客であるトヨタグループの自動車生産台数や稼働状況に業績が大きく左右されるリスクがあります。
トヨタ系の仕事で基盤が盤石な上にPBR改善への意識も高いね。注意点は優待が「200株から」ってところ。お米券は家計に直結するから嬉しいけど、間違えて100株で止まらないように気をつけないとね!
2733 あらた
化粧品や日用品、ペット用品などを扱う卸売業の大手です。全国をカバーする物流ネットワークを構築しており、ドラッグストアやホームセンターへの供給網として不可欠な存在となっています。
【株価指標】 PER 9.7倍/ PBR 0.86倍
【財務指標】 自己資本比率 37.4%/ROE 9.16%
【配当情報】 利回り 3.63%/配当性向 33.0%
【増配実績】 過去10年間の増配回数 10回
【連続増配】 11年(予想達成時)
【連続非減配】 16年以上
【株主還元方針】 安定配当を考慮しながら、連結配当性向30%を目標として段階的に向上させる方針です。財務状況や成長投資などを総合的に勘案して決定します。
【株主優待】 QUOカード(100株以上で年2回、計2,000円分)
【懸念点・リスク】 物流費や人件費の高騰が利益を圧迫するリスクがあります。またドラッグストア業界の再編による取引条件の変化も注視が必要です。
日用品の卸売りっていう景気に左右されにくいディフェンシブさが強みだね。しかも年2回もQUOカードがもらえるのは優待族としてもポイント高い!地味だけどポートフォリオの隅っこでしっかり仕事をしてくれるタイプだよ。
7208 カネミツ
自動車エンジンの回転を伝える重要部品「プーリ」で高いシェアを持つメーカーです。鋼板製プーリの技術力に定評があり、トヨタやホンダなど主要メーカーと取引があります。PBRの低さが際立つ銘柄です。
【株価指標】 PER 7.6倍/ PBR 0.44倍
【財務指標】 自己資本比率 71.3%/ROE 4.85%
【配当情報】 利回り 3.65%/配当性向 28.4%
【増配実績】 過去10年間の増配回数 10回
【連続増配】 14年(予想達成時)
【連続非減配】 16年以上
【株主還元方針】 株主還元の強化として、連結配当性向40%程度、かつDOE(株主資本配当率)2.5%以上を目標とする方針を掲げています。
【株主優待】 QUOカード(100株以上で500円分、1年以上で1,000円分)
【懸念点・リスク】 自動車のEV(電気自動車)化が進むと、エンジン部品であるプーリの需要が減少する構造的なリスクを抱えています。
PBR0.44倍って「解散価値の半分以下」で放置されてる超・割安状態だね。にもかかわらず14年も増配を続けているのは凄い。市場評価が見直されたときの株価上昇余地と、配当の両取りが狙えるかも?
まとめ
今回は「PBR1倍割れ」かつ「連続増配」を継続する、割安で財務が健全な7銘柄を紹介しました。
これらの銘柄は単に株価が安いだけでなく、企業側が「株価を適正な評価まで引き上げたい」という強い意志を持っており、配当性向の引き上げやDOE(株主資本配当率)の導入など、株主還元を強化しています。
新NISAを活用して長期で保有すれば、安定した配当金(インカムゲイン)を受け取りながら、将来的な市場評価の見直しによる株価上昇(キャピタルゲイン)も期待できる「一石二鳥」の投資になる可能性があります。
もちろん、各銘柄には固有のリスクもあります。投資する際は「懸念点・リスク」もしっかり確認し、ご自身のポートフォリオに合わせて検討してみてくださいね。
▶おすすめ記事

